「嘆きのピエタ」あらすじとレビュー

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あらすじ

生まれてすぐに親に捨てられ、借金の取り立て屋をしているイ・ガンド(イ・ジョンジン)の前に、
ある日1人の女性(チョ・ミンス)が現れ「母親」だと名乗る。

はじめは信じられずにひどい仕打ちをするガンドだったが、だんだんと心を開き、
「母親」がいなければ生きていけないと思うまでになる。

そんな時に、母親から助けを求める電話がかかり、その後母親の姿は消えてしまう。
必死で探すガンドだが・・・

「ピエタ」とは、死んで十字架から降ろされたキリストを抱く母マリア(聖母マリア)の彫刻や絵のこと。

極力ネタバレなしのレビュー

キム・ギドク監督の作品を観たのはこれが初めてですが、まあほんとに独特の雰囲気ですね。
観終わった後の救いのない感じややるせなさが、半端なかった・・・。

イ・ジョンジンが演じる「ガンド」は、借金を返せない人には障がい者にさせて(この描写がけっこうキツイ)
その保険金を借金の返済に当てさせるという、とにかく非情な人間なのですが、
映画の中で1人2人ではなく何人も障がい者にさせます。

母親に心を開くまでの前半部分は、そんな痛い描写や、鶏をさばいたりウナギをさばいたりして
血もドロドロと出てきます。

それが、母親に心を開いたあたりから、暴力描写も流血もなくなります。

その代わり、精神的に痛い・・・。

後半に入るあたりで、母親の思惑が観ている人には分かるのですが、
前半あれだけの暴力描写があったからこそ、ここからの精神的キツさが増すというものです。

ストーリーとしては、復讐ものであり、自分のやったことが自分に返ってくる「因果応報」のお話
と言ってしまえばそれまでですが、それをこんな風に描くのか・・・というところに妙に感心しました。

また、なんといっても母親役のチョ・ミンスさんが圧巻。

「微笑む」という仕草1つとっても、ある時は泣いてるように見え、
ある時は相手を見下しているような雰囲気をたたえ、ある時はただ静かに微笑んでいる。

「母なる証明」のキム・ヘジャさんは、犯人が分からない中でもがく「不安定な」母親でしたが、
「嘆きのピエタ」のチョ・ミンスさんは、肝の座った、深い悲しみをたたえた母親でしたね。

韓国映画はソン・ガンホ氏はじめ、素敵なおじさま俳優がたくさんいらっしゃいますが、
こんな素敵なおばさま女優もいらっしゃるのですねぇ。。。

最後のチョ・ミンスさんのセリフが、まさしく聖母マリアでした。
そのセリフだけが、この映画の中での唯一の救いだと思います。

前半の残酷かつグロいシーンさえ目をつぶってやりすごせれば、
後半は映画にぐいぐい引きこまれて、ラストまで一気に観てしまう、力のある映画でした。

満足度 star4

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