あらすじ
たくさんの人で賑わっていた漢江に、突然黒い謎の怪物が現れ、人々を襲い始め、
漢江のすぐそばで売店を営むカンドゥ(ソン・ガンホ)の娘ヒョンソ(コ・アソン)が
逃げ遅れて怪物に咥えられて連れ去られてしまう。
ヒョンソが死んでしまったと葬式まで行うが、カンドゥの携帯電話にヒョンソから電話がかかる。
ヒョンソが生きていると知ったカンドゥは、そのことを周囲に話すが、
家族以外は誰も信じてくれない。
怪物のもつ未知の病原菌に感染した可能性があるとして、
カンドゥは在韓米軍によって隔離されるが、
家族とともに脱出し、ヒョンソの居場所を探し始める。
極力ネタバレなしのレビュー
ポン・ジュノ監督の作品のうち、「殺人の追憶」「母なる証明」の次に見た作品です。
この映画、長らく韓国での歴代観客動員数1位でしたので(2014年12月現在では「鳴梁」が1位)
タイトルだけはよく知っていました。
TSUTAYAでもよく見かけましたしね。
でも、このDVDのパッケージの印象が、どうもウルトラマンとかのようなイメージで
全く見たいという気にはならなかったんですよ。
(ウルトラマンを否定しているわけではなく、私がウルトラマンに興味がないだけです)
ついでにいうと、「殺人の追憶」を観るまではポン・ジュノ監督にも興味はなかったですし、
ソン・ガンホという俳優のこともあまり知らなかったので・・・。
ただ、韓国映画にハマった今となっては、日本版のパッケージより
この韓国版のパッケージに方が心惹かれます。
ガンホさんの顔だけで「あ、見よう!」と思いますから(笑)
映画自体は、思っていた以上に面白かったです。
アメリカ映画によくありそうなパターン
(怪物が出てきて女性がさらわれ、男主人公が助けに行く、みたいな)なのですが、
アメリカ映画ですと怪物との戦いがテーマとなるところ、
グエムルでは家族愛がテーマとなっている(プラス反米)ところが、韓国らしい。
結末も、「韓国映画ならこうだよね」というもので、私はこのラストで納得です。
また、この家族の顔ぶれが良くてですね。
賢くもスマートでもないけど一生懸命なヒョンソの父ソン・ガンホ
対照的な(ソン・ガンホの)弟パク・ヘイル、
アーチェリーのオリンピック代表だけどちょっとどんくさい妹ペ・ドゥナ
そんな3人の父親(ヒョンソのハラボジ)ビョン・ヒボン
こんな父祖父叔父叔母に、一身に愛され可愛がられているヒョンソ(コ・アソン)
怪物に連れ去られたヒョンソを、家族4人は何の迷いもなく自分たちで助け出そうとする。
韓国ドラマをたくさん観ていると、
たいてい家族のうち1人ぐらいは自分の保身に走る人がいるものですが、
グエムルでは、4人ともヒョンソを助けることしか考えていないんですよね。
そういう「親愛なるおばかさん」たちが、見ていて愛おしくなります。
そして、なんといってもヒョンソ役のコ・アソンちゃんが素晴らしいです。
韓国の子役さんたちって、本当に演技がうまいなあと、いつも感心します。
私の感想としては、「グエムル」という映画はキャスティングの勝利という気がします。
ストーリー自体は「殺人の追憶」や「母なる証明」のような緻密さがあまり感じられず、
この映画だけを見せられたらポン・ジュノ監督の作品と思えないような気もするのですが、
それでも観終わった後で、時間を無駄にしたという感じもなく「面白かった」と思えたのは
間違いなくソン・ガンホ氏やコ・アソンちゃんをはじめとした俳優陣のおかげだと、私は思います。
娯楽映画として見ると、普通に楽しめて、なかなか良い作品だと思いますよ。