あらすじ
1978年釜山。
小学生の女の子ウンジュが下校時に誘拐される。
コン刑事(キム・ユンソク)は、ウンジュの両親からの懇願と、ウンジュが自分の息子の友達であることもあり、管轄外であるにも関わらず捜査に関わることになる。
一方、ウンジュの母親は義妹とともに占い師(導師)のもとを訪れてウンジュの行方を占うが、ことごとく「ウンジュはもう亡くなっている」と言われ憔悴してしまう。
だが、最後に訪れたキム導師(ユ・ヘジン)だけが「ウンジュは生きている」と占う。
コン刑事は所轄署の刑事と合同で極秘捜査を行うが、コン刑事のことを気に入らない所轄の刑事たちは協力するどころか捜査の邪魔をするばかり。
何度か犯人から身代金の受け渡しについての電話があるがなかなか接触できない。
そして、犯人から身代金をもってソウルに来るように言われたことから、ウンジュの父親、叔母、ウンジュの父親の運転手、そしてコン刑事とキム導師もソウルへ向かう。
極力ネタバレなしのレビュー
実際に起きた事件を素材にした映画ということで、結末は分かった上で観たのですが、いわゆる「捜査もの」とか「刑事もの」というジャンルには当てはまらない映画でしたね。
強いていえば「人情もの」ではないかと思います。
誘拐された娘の身を案じる父親と母親と叔母、コン刑事の妻と子どもたち、キム導師の妻と子どもたち、この3家族の描写がとても丁寧でした。
警察の描写は相変わらずです(笑)
気に入らなければ捜査の邪魔をするし、犯人を捕まえることより自分たちの面子が大事な所轄署の面々。
人の手柄を横取りして平気で表彰を受けるところなどムカッとするところもありますが、コン刑事がそうした理由というのも分かりますので(ここのユンソク氏の演技、個人的にすごく印象に残りました)切なかったですね・・・。
ただ、それで終わらず、ウンジュのお母さんがコン刑事への感謝の気持ちを表したところが、人情ものだなぁと思ったポイントの1つです。温かい気持ちになりました。
キム・ユンソク演じるコン刑事は、決して人情派な刑事としては描かれていません。
妻から「息子の友だちが誘拐されたんだからあなたが捜査しなきゃ」みたいなことを言われても、最初は「管轄外だから」と言います。
でも捜査に携わってからは、同じように子どもを持つ親としてできる限りのことをしようとします。
キム導師も同じです。
子どもの無事を優先で動く2人。
犯人を見つけてからウンジュのいる場所へ行くまでとにかく必死で、まったくスマートではありませんでしたが、それがかえって格好良かったなあと思います。それに、それがごく普通の、人間らしい姿なんですよ。
ウンジュを見つけた時の様子もただ感動だけでなく、ちょっとした笑いもあって、ここもまったくスマートではありませんでしたが格好良かった。
結局、現実は自分の思い通りになることばかりでなく、自分がどれだけがんばって成果を出したとしても認めてもらえないこともある。でもちゃんと見ていてくれている人はいる。
そして、最初は合わないと思った相手でも、同じ目的で行動していくうちに心が通い合うこともある。
見終わった時にはほっこりとした気分になりました。
デッキブラシを振り回したり牛骨を振り回すようなカリスマ溢れるユンソク兄貴も大好きですが、ごく普通の人間を等身大に演じるユンソク氏というのも素敵です。
なによりこの映画では、ユ・ヘジン氏がカッコよく見えるのもおすすめポイントです(笑)
満足度