あらすじ
1986年10月、ソウル近郊にある農村の田んぼの側溝で、若い女性の死体が見つかる。
刑事(ソン・ガンホ)が捜査を始めるが、証拠の保全もずさんで捜査は難航。
そこに捜査の応援として、ソウルから一人の刑事(キム・サンギョン)がやってくる。
「目を見れば犯人かどうか分かる」と言う田舎の刑事と
「資料は嘘をつかない」と言う都会の刑事。
警察の捜査をあざ笑う如く、夕方、ラジオからある曲が流れてくると、
赤い服を着た若い女性が1人また1人と殺されていく。
次第に焦り、追い込まれていく刑事たち・・・
極力ネタバレなしのレビュー
「殺人の追憶」という映画のタイトルは以前から知っていたけれど、
実は、まさか自分がこの映画を観ることになるとは思いもよらず。
実際にあった事件、しかも未解決事件が題材で、その事件というのが女性ばかり狙われるという、
そのことだけでずっと敬遠していたんです。
でも、友達が「観ておいて損はないから」としきりに言うので、
ちょっと興味が湧いてきて、たまたま見る機会ができたので、こわごわ見始めたのでした。
そうしたらなんと、最後まで息つく間もなく(←感覚として、です) 一気に見終えてしまい
まず思ったのが
「うわぁ・・・なんてすごい映画だ・・・」
でした。
どこがどう凄い、という説明は難しいのですが・・・
映画自体がすごい力を持っているのだと思うんですよね。
女性ばかりが狙われる連続殺人、ということで、
もっと映像的にキツイのかと恐れていたのですが、
そこはあまり気になりませんでした。(とはいえ、生々しい死体は出てきますが。)
ストーリー自体も、わりと淡々と進んでいきます。
というか、淡々と進んでいるように見えて、
実は細かいところに伏線がちょこちょこと置かれていたんですよね。
これは、後になってからジワジワときます。
ミステリー好きには、こういう緻密な伏線がとっても心躍リます。
淡々としながらも、いつの間にか話は進んでいて、
まるで緩い上り坂をのぼっていくような感覚で、クライマックスに入っていきます。
とはいえ、未解決事件を元に作られた映画なので、映画でもやっぱり未解決で終。
最後の容疑者(パク・ヘイル)との心理戦は、観ている方もジリジリ。
でもその容疑者も、DNA鑑定の結果犯人ではないということになり
釈放せざるを得なくなった後の、あのトンネルのシーンが、
冒頭の田んぼの側溝とオーバーラップして、なんともいえない気持ちになりました。
ラストシーンについてもいろいろ思うところがあるのですが、
ネタバレになるので、書く気になったら別記事で・・・。
いやあ・・・本当にすごい映画を見ましたよ。
すすめてくれた友達に感謝です。
この「殺人の追憶」を観たことがきっかけで、
他の、今まで避けてきたジャンルの映画にも断然興味が湧いてきて、
どんどんはまっていくことになりました。
私にとって、そんなきっかけの映画です。
満足度