あらすじ
70歳のマルスン(ナ・ムニ)は、国立大教授に出世した一人息子(ソン・ドンイル)を女手一つで育て上げたパワフルなおばあさん。
マルスンを「アガシ(お嬢さん)」と呼んで慕うパク氏(パク・イナン)と、老人ばかりがお客のコーヒーショップで働いている。
パク氏を慕う常連のおばあさんからは恋敵とライバル心を燃やされ、言い争いが嵩じて殴り合いのケンカをすることも。
マルスンは言いたいことをズケズケと言うため、息子の嫁はストレスで心臓が弱り倒れてしまう。
ストレスの元となるマルスンとは別々に暮らした方がよい、との医師のすすめで、マルスンは施設に入れられそうな雰囲気に。
そんな時、マルスンが町を歩いていると、ある写真館が目に入る。
写真館の前に飾られていたのは、オードリー・ヘップバーンの写真。
それを見て、マルスンは写真を撮ってもらうことにする。
写真館に入って写真を撮ってもらうと、不思議なことに20歳のころの自分(シム・ウンギョン)に戻っていた。
極力ネタバレなしのレビュー
期待に違わず「ほっこり」とする映画でした。
なんといっても、シム・ウンギョンの演技がうまい!
前かがみの姿勢も、ガニ股気味の歩き方も、しゃべり方や特に「あいごー」の言い方も、完全におばあさん(笑)
難しくなさそうに見えるけど、きっと歩き方やしゃべり方は相当練習したんだろうな~という気がします。
マルスンのことは無条件に何でも許すパク氏、パク氏をはさんで三角関係のおばあさん、マルスンの息子、その嫁、孫娘、孫息子、パク氏の娘に至るまで、みんな憎めない愛すべきキャラクターなのも良かったですね。
あとは、マルスンが若くなって「オ・ドゥリ」と名乗ってから出会うプロデューサー役のハンPD(イ・ジヌク)も、夜道で生のサンマを突きつけられたり(笑)いい味を出していました。
若い時から苦労して一人息子を育ててきて、歌手になりたい夢を叶えることもなく、このまま人生を終えてしまうのか・・・という年になって、また20歳から人生をやり直すことができる機会がやってきた。
念願の歌手にもなって、胸がキュンとする恋にも出会い、苦労ばかりしていた人生とは違う、何もかもがバラ色の人生を歩むことができそう・・・
そんな時に、また元の70歳のおばあさんに戻るか戻らないか、という究極の選択をしなければならなくなります。
結局は70歳のおばあさんに戻るわけですが、いくら息子がいいと言っても、おばあさんとしてはあの場合はその選択しかないと思います。
さらに言えば、一生懸命生きてきたからこそ、元の人生に戻ることも悔いはない、ということでしょう。
現実には、若い頃に戻りたいと思っても戻ることはあり得ないのですが、もし戻れるとして、「今の人生と同じ道を歩むことを選ぶ」と言い切れるほど、自分は今の人生を一生懸命生きているだろうか?
映画の最後、そんなことを考えました。
人はいつ死ぬか分かりません。
若いからといって、明日が必ずあるとは限りません。
たとえ人から見たら辛い境遇であっても、自分は「この人生で悔いなし!」と思うことができたら、それ以上幸せな人生はないだろうなと思います。
70歳に戻ったマルスンが遠くからハンPDの姿をじっと眺めるシーン、ほろ苦いです。
ちょっとどんよりとした気分になったところで場面は変わって。
なんと今度は、パク氏が例の写真館で「ジェームズ・ディーン」の写真を観ているではないですか?!
マルスンが若くなったらシム・ウンギョンだった。じゃあ、パク氏は?ジェームズ・ディーンは誰だ?
と思ったら、なんと大人気のあのお方!
まったく予備知識を得ないで見たので、完全に意表を突かれました(笑)
この映画の中でいちばん笑いましたよ~!
良質なコメディは、たまに観ると心がほっこりしていいものですね。